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2011年10月22日土曜日

遠い昔の名残り

たまに飲み行くバーのマスターは60歳近い脱サラした元営業マン。

毎日歩きまわって、いろいろな人にあっていただけあって、福岡の街に詳しい。

あの店ができる前にはコレコレこういう店が入っていて、近所の人たちはナントカと呼んでたんだよ、とか、そういう街のちょっとした面白話をしてくれる。

そして年に本を365冊読むという本の虫で、流行作家からSF、歴史物、目にとまったムック本などジャンルのこだわりなくなんでも読む。

その人のバーの本棚は、彼の読書遍歴が凝縮されており、とても面白い。

なかでも、1970,80年代のタウン誌やグルメ情報誌が置いてあって、飲みながらぱらぱらとめくってみる時間が好きだ。

そういうのを眺めていると、15年前に福岡に引っ越してきた時の記憶が徐々によみがえってくる。

そういえば、あのころあったビルはいつの間にか解体されていまは違うビルが建っているな、とか。

この空き地、昔はテナントがたくさん入ったビルが建っていたのになぁ、とか。


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そうして、思い出したのが、清川、というエリア。

以前、ロータリーを紹介したあの場所だ。

清川には行きつけのラーメン屋があり、そこで、魚介豚骨をすすりながら、そういえばこのあたり、10年くらい前まではそこらここらに風俗店があったのに、いまはもう一軒もなくなってしまっているなぁ、とふと思い、先日調べてみた。

すると、軒並み店を閉じた理由は、締め付けの厳しさだったようだけれど、意外な知識がついてきた。

この清川のあたりが「柳町」と呼ばれていて、戦後しばらくして廃止になるまでは赤線だったというのは知っていたけれど、実のところここは「新柳町」であって、「柳町」はもともと博多にあったらしいというのだ。

まだ博多駅がもう少し海寄りにあり、博多が商業の中心地だったころ、博多港の周りはそれはにぎわっていたそうで、そういう賑わいの周りには、商店、飲食店、宿泊施設、そして花街が当然のようにあったそうだ。
旧博多駅跡地の公園の傍らに、九州最後のピンク映画館がある。


その旧柳町というか、元祖柳町は、いまは神屋町と呼ばれるエリアに当たる。そこから大博通りを挟んで御笠川までの大浜という地区が赤線だったということだ。

大浜という名前はもう今はなく、その名残を残していた大浜小学校も数年前に博多小学校に統合された。

神屋町は古くから花街として栄えたらしいが、いまでも目にすることができる当時の娼館というか置屋の名残は、すべて戦後に建てられた、当時としてはモダンな建築が多いそうだ。

実は、西鉄の駅に三越が入り、高架化されたぐらいから(15,6年前)、福岡の街は博多も含めて大きく変わり始め、福岡西方沖地震がそれを決定づけ、それまで50年あったものがここ10年でどんどんなくなっていっている。

この博多部の片隅に残る娼館の跡もいつ駐車場やマンションになってしまうかわからないらしい。

それはいかん!と思い、さっそく散歩にいってきた。
ネットで調べたら出てくる、神屋町にいまでものこる売春宿の跡とおなじ建物を探してだいぶんうろうろした。
大小の光沢のあるタイル、波型の瓦が特徴的な「カフェー建築」
この豆タイルがはってあり、目立つ色で装飾してある独特の様式の建築物をどうやらカフェー建築と呼ぶらしい。

このカフェーとはきっと、お茶をするいわゆるカフェではなく昭和初期の”女給”がいた「カフェー」から来ているのだろう。

まだ中高生だったころは、文学史を学べば喫茶店の店員がやたらとそういう文士と心中してみたり、谷崎の痴人の愛でも女給と色恋しているのを不思議に思っていたものだった。

ほかにはこんな窓枠の建物も。
窓枠もだけれど、ガラスも渋い。
ここは他の建物と違って建物として現役でした。
ひとつだけ探しきれなかった建物があるので、またの機会にでも行ってみようと思う。

近所の冷泉公園では、
オクトーバーフェスト福岡会場 開催前日

翌日の金曜日21日から始まるオクトーバーフェスト福岡の準備が着々と進んでいた。


冬はまだまだだけれども、昼間の日差しもだいぶん傾き、和らいできた。

もー、11月。気がつけばすぐに街にクリスマスソングが流れだすんだろうなぁ。

4 コメント:

lyly さんのコメント...

九州最後のピンク映画館恐るべし!
哀愁が漂っており歴史の重さを感じさせる。
どんなのをやっているのか気になる。
外観からすでに臭いが漂ってきそうだ。
ところでこれから、Mrev国宝認定制度を定めることにする。
まず第一号は、前回の「おポンプ様」で、
今回のエロ映画館は第二号。
国宝第三号を待つ!
100号たまったらGalleryで紹介しよう。
どや?

kuri8 さんのコメント...

>lylyさん
九州最後のピンク映画館、映写機すらなくて、大型プロジェクターらしいです。その昔博多の街は映画館が20以上あったらしく、「オールナイト」ということばも博多の映画館発祥らしいですよ。
ところでロータリーは国宝に入れてもらえないでしょうか!?
それにしても100号は10年かかりそうですね。そうこうしている間にどんどん国宝がなくなっていきそうです。笑

lyly さんのコメント...

オールナイトが博多発祥・・・へえ〜おもろいなあ〜
ロータリーは忘れていた、、、勿論国宝だね
ついでに、す〜んごくいいレアものには「Mrev世界遺産」を進呈することにしよう(^^)/

風太 さんのコメント...

北九州市八幡東区前田には60数年前に開館した

日活ポルノ映画館がまだ元気に営業していますよ。

興味のある方は早目に訪れておいたほうが良いかも。





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