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2011年3月26日土曜日

~大名老舗中華料理店の話~ 1月24日分 再掲

先日は、天神から離れたところのお話をしました。

今日は、天神から、西通りを挟んだ西側のエリア、大名のお話です。

BEAMSやSHIPS、もう移転してしまいましたがUNITED ARROWSもあったり、ナイキショップやアディダスのブティックなどがある、イマドキのエリアです。

全国的に知られたラーメン屋、一風堂の本店、一幸舎の本店などもこのエリアにあります。

そこをもうすこし奥に行くと、紺屋町通り、という小さな商店街のような通りがあります。

ここが大名のメインストリートです。

いまでも昔からの商店街テイストを残しており、精肉店、和菓子屋、メガネ店、セルフ式の食堂などが洋服屋、雑貨屋などと並んでいます。

福岡いちばんの老舗百貨店、岩田屋が西通りに新館をオープンした15年くらい前あたりから、大名にお店が増えはじめました。

それまで福岡のにぎわいの中心は、もっと北東にありました。

生まれも育ちも大名っ子という知人がいます。バーのカウンターの並びでしか会ったことのない知人なのですが……。

曰く、30年前は、西通りでボール遊びができた、道路にチョークで丸を書いてケンケンパをしてた、ゴム飛びもやってた、というくらい時間帯を選べば車の通りも少ないエリアだったそうです。

そんなに前のことはさておき、大名の街は、天神が膨れ上がるにつれ、西の方までどんどんとお店が増えてきました。

細い道に立つ古い木造やぼろい鉄筋コンクリートのアパートの一室を、資本も何もない若い人たちが工夫を凝らしたショップや雑貨屋、レコード屋、美容室に改造して、なんというかとてもワクワクした空気に満ちたエリアでした。

大名の奥のほうなんて、パン屋と居酒屋しか目印が無いくらいでしたが、いまではいろんなお店が立ち並んでいます。

そんな創意工夫と若いエネルギーに満ちた街も、需要と供給のバランスで上がり続ける家賃、福岡西方沖地震によって、倒壊や取り壊しを余儀なくされた激安アパート群の後に建った瀟洒なビルの目が飛び出る様なテナント料によって、その様相を変えつつあります。

そして、そんな常に変化の中にあった大名の真ん中で45年間、愛され続けてきた中華料理屋があります。

一宝軒です。

Google Street Viewよりキャプチャ


どういう事情かはわかりませんが、今月いっぱいでお店を閉めます。

大衆中華のお店でした。

ホルモン鉄板や、ニンニクがグイッと効いた焼餃子、ほんのりと甘みのある鶏の唐揚げがおいしく、私も、飯屋としても飲み屋としても何度も利用した店です。

夜2時3時くらいまでやっていたのもありがたかったです。

しこたま飲んだ帰りに、豚骨は重すぎるからと、ここのラーメンを食べて、馴れない麺のかん水の匂いに胃を引き攣らせたのもいい思い出です。

月末の閉店まで、醤油ラーメン300円、餃子200円、飲み物半額など、閉店セールをしています。

近頃行ってないし、もう最後だから、でもいいです。

あそこ昔からあるけど入った事無かったんよね、でもいいです。

まだ福岡に出てきたばかりだけどそんなセールやってるんだ、でもいいです。

消え行く大名のランドマークに立ち寄ってみてください。

ただ、10年くらい前かな、立て替える前の方が好きだったなぁ。

厨房を囲んだカウンターと古ぼけた小上がりは、10代の私が気張らずに外食できる貴重なお店でした。

写真、無くてすみません。

昨日、仕事が終わった後に、唐揚げと餃子、ビールで晩酌をしたのですが、なんだか、気恥かしくて、そしてさみしくて写真を撮れませんでした。

さよなら、一宝軒。

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